中古の軽自動車はお買い得とは言えない理由
軽自動車は乗用車より維持費が安いため、中古車市場で高値で取引されるワケを「軽自動車が乗用車より高く売れる理由とは?」の章でお話しました。
現在の新車販売のうち、実に約4割が軽自動車を占めているほどの人気っぷりです。
都会に住んでいる人は実感がないかもしれませんが、地方では買い物するにも出勤するにも車が無いと生活できない地域が多くあるため、一人1台保有することが珍しくありません。
家族で一台ずつ車を持つとなると生活費がバカになりません。そこで維持費の安い軽自動車を乗る人が多くなることが理由です。
そもそも軽自動車と乗用車の違いって何?
- 全長 :3.4m以下
- 全幅 :1.48m以下
- 全高 :2.0以下
- 排気量 :660cc以下
- 定員 :4名以下
- 貨物積載量: 350kg以下
軽自動車は以下のサイズ、排気量などに制約がある。この軽自動車の制約を一つでも超えると乗用車扱いとなります。
そうなんです。例えサイズを1mmでもオーバーすれば、軽自動車として認められないんです!
ところでみなさんは「ミニクーパー」をご存じでしょうか?シティーハンターの冴羽獠(さえばりょう)の愛車といえばお分かりの方も多いのではないでしょうか。
実車も見るとほんとに小さいです。はっきり言って軽より一回り以上小さいのではないでしょうか。
そんな「ミニクーパー」と軽自動車の基準を比較してみます。
軽自動車の規定サイズ | ローバー MINI | |
---|---|---|
全長 | 3.4m | 3.07m |
全幅 | 1.48m | 1.44m |
全高 | 2.0m | 1.33m |
排気量 | 660cc | 1,271cc |
定員 | 4名 | 4名 |
貨物積載量 | 350kg | なし |
上記表の通り、「排気量」以外は軽自動車の基準を満たしていることがわかります。なのに、排気量の1点のみ基準を満たしていないから軽自動車になることができないのです!けっこう厳しい基準ですね・・・。
軽自動車は本当にお得か?
<※写真は1958年にヒットした軽自動車の四天王、スバル360>
軽自動車は維持費の安さが受け入れられて今日まで人気のタイプ車種の位置づけになっています。が、厳しい基準を満たすために以下の懸案があります。
安全性
軽自動車は制限されたサイズの中で車内空間を広く保つよう工夫されて作られています。言い換えれば車のフレーム強度が乗用車と比べると劣っているケースが多くあります。
車種 | 総合評価 | 乗員保護性能評価 | 歩行者保護性能評価 |
---|---|---|---|
ホンダ N BOX (軽自動車) | 157.7 点 | 72.02 点 | 81.73 点 |
マツダ デミオ(乗用車) | 185.7 点 | 93.26 点 | 88.5 点 |
トヨタ クラウン(乗用車) | 189.7 点 | 91.0 点 | 92.74 点 |
<参考:自動車アセスメント>
上記表は市販車の安全性能を検証する第三機関の試験データの一例ですが、軽自動車のほう乗用車より評価が劣っている例です。もちろん乗用車だからと言って全ての車種が安全とは言えませんが、軽自動車は構造上劣る場合があるのでよく確認する必要があります。
燃費
近年に発売される軽自動車はカスタム性が高く装飾品も増えてきたため重量が重くなる傾向にあります。例えばホンダのN-BOXやダイハツのアトレーワゴンなど重量が1トンを超える車両は珍しくなくなってきました。重量の重い車を小さい排気量の車で走るわけですから燃費が良いわけがありません。特に街乗りで低速で発進、停止を繰り返すと1,300ccの乗用車よりも燃費が悪くなります。
車両重量が1tを超える車を走らせようと思うと最低でも1,000ccは欲しいところです。それをカバーするためにターボ付きの軽自動車が増加している傾向にあります。ターボはトルクを出すために燃料を多く使うため燃費はあさらに悪くなります。加えて車両価格が高くなるので現在の軽自動車は平気で200万円を超えることがよくあります。1,300ccの乗用車が100万円で購入できる時代ですので、一概に軽自動車が安いとは言えません。